長編オリジナル小説 「平安ヒーローズ 真 竹取物語」 (1-4 物語番号4)第一章:神様との約束  第四話:開発プロジェクト

平安ヒーローズ 真竹取物語

              

その日、コンサルティングの顧客である「ストロングスターカンパニー」にいた。

日本を代表する総合工業機械メーカーだ。

この会社は私の勤務するコンサル会社と資本提携している関連会社でもある。

              

今は、グループの総力を結集してある大型プロジェクトが推進されている。

俺はそのプロジェクトで、関係会社間調整役のプロジェクトマネージャーの一人として任命された。

それぞれ関連分野に強みを持つ、会社と社員がこのプロジェクトに参加している。

このプロジェクト参加する事に、俺はワクワクというかかつてない程、興奮している。

最終目標が達成できれば、日本いや人類の夢を実現できる。

その夢とは、宇宙空間での光活用と、そのコントロール方法確立による効果的エネルギー利用だ。

もう少し詳しく言うと、宇宙空間では地球上よりも雲などの天候や大気の影響を受けない。

そして、地球上よりも太陽に距離的に近く、より強い太陽光エネルギーを利用できる。

宇宙空間では、広さの制限や権利関係での利害が想定できない事から、効果的な巨大パネル設置も可能だ。

                

そこで、このプロジェクトでは、宇宙空間で太陽光発電を実施。

発電した電気をできるだけ減らすことなく地球へ送電する事を、効果的・効率的な送電・光技術を使い、低コストで実現、最終的には商用化。

そんな夢の技術を世界の競合会社と競いながら実用化を目指している。

実現できれば、人類はほぼ未来永劫、エネルギーに対する不安が無くなり、CO2削減に関する課題も今とは比較できない程に改善する。

ただ、それを実現する為には、コスト管理、送電効率、送電スピード、安全性、インフラ構築、将来的な宇宙空間での権利関係の国際間整理等々の各プロジェクトのそれぞれのユニットについて、

解決すべき課題がある。

もちろん実現に向けての障害も多いが、縁あって関わることができ、生涯を賭けて取り組む価値のある仕事と思う。

                        

ちなみに俺は、このプロジェクトで、光送電技術開発のユニットを担当している。

今日は朝から関係メンバーで、興味深い話題について議論されていた。

それは光技術を使い、時間をコントロールする事ができれば、進行時間を遅らせたり、場合によってはマイナス時間で様々なプロセスが実現できるというものだ。

時間をコントロールする‥‥時間効率重視の地球の概念からすれば、究極の効率化につながるかもしれない。

そんな期待が持てる話だった。

そして、技術を応用すれば、理論的には「タイムトラベルも可能ではないか」という話も出た。

白熱した議論だったが、現在の技術レベルでは、多くの障害がありそうだった。

           

だが数十年後には、これは可能になる技術かもしれないと、その時俺は確信した。

その時の俺の立場はコンサルタントであり、自分自身でそれを研究したいとは思わなかった。

訂正、その時は‥そう思っていた。

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