長編オリジナル小説 「平安ヒーローズ 真 竹取物語」 (1-2 物語番号2)第一章:神様との約束  第二話:令和 幸せな日々

平安ヒーローズ 真竹取物語

(1-2 物語番号2) 【第一章 神様との約束  第二話 令和 幸せな日々】

                    

俺の名前は、金田竜太郎33歳。

周りの親しい人たちは「金ちゃん」、両親や妻は「竜ちゃん」と呼んでいる。

  

何より好きなのは体を動かす事。

特に武道は日々心身の修練を重ねている。

現在、剣道4段、柔道3段。弓道も5年位前に始めた。

                   

そして趣味と言ってはなんだが、とにかく歴史が好きだ。

特に戦国時代の城や戦術に関しては自信がある。

休みには家族と一緒に、時には一人でも近郊の城めぐりをしている。

   

あとは‥10年も前から小説やエッセイを書いている。

日記代わりに、毎日少しずつ何かを書く事にしている。

将来自分の作品を、自費ではなく、出版するというのが夢だ。

              

家族は、田舎の両親と、同居するメーカー時代の後輩でもある2歳下の妻。

そして5歳になる1人娘。

今、俺がどんなに幸せか‥‥

   

(今朝の我が家の会話)

 「竜ちゃん。今日は香の誕生日だから、早く帰ってね。頼んでおいたケーキも忘れないでね」

妻は朝食を食べながら私に確認する。

「了解。今夜楽しみだね」

俺もにこにこしながら答える。

そして、娘に向かって言う。

「今夜、みんなでお祝いしようね」

じっと娘を見つめながら話すと、娘は嬉しそうな顔で俺に頷いている。

            

うちの妻の料理は絶品だ。

我が家での食事‥‥それは最高に幸せな時間となる。

まず、そのなんとも言えない料理の匂いが、食欲をそそる。

そして、実際に食べると、どんな有名店の料理にも負けない程、感動する。

食べるタイミングに合わせて、火加減や温度、匂い、調理時間まで逆算して作られる料理だ。

メニュー自体は普通だが、我が家以外では食べられない、俺にとって最高の料理が食卓に並ぶ。

ふんわりしていて柔らかいのに、ほんの少し芯があり、噛むと甘みのあるご飯の炊き加減。

ベースのだしが、しっかり効いていて、絶妙にブレンドされた味噌汁。

メイン料理の邪魔をせず、ご飯と一緒に食べると止まらなくなる自家製の漬物。

外は「かりっ」と焼かれ、中は逆に「ふわふわ」、

魚の油が箸で摘まむと「じゅわ」と滲み出る理想的な焼き魚。

                  

お弁当も、蓋を開けるのが毎日楽しみだ。

今日も、卵焼き、肉団子、

ほうれん草には今朝フライパンで炒ってくれたゴマまでのっている。

美味しい「しょうゆベースのおかか」の上に敷き詰められた焼きのり。

何度も言うが、普通の食材で、普段のメニューも、妻の腕前と愛情が加わると絶品飯となる。

          

妻は、知り合って何年も経つが、いつもかわいらしい。

そして明るく優しくて、俺の事を愛してくれる。

おまけに、家族の幸せの為の努力を惜しまない。

時には、本気で私の事を叱ってくれる。

のろけばかりで恐縮だが、本当に私にとって、最高のパートナーだ。

                  

そして娘の香。

この子が生まれた時、

その顔を見た瞬間、

俺は「この世に天使はいる」と初めて思った。

この世で自分の命よりも大切な人が、2人目になった。

そして、その小さな天使は、

「幸せ」を、

驚くべきことに、見える形で、俺たちに運んでくれた。

しぐさや表情、話す言葉や、寝顔まで、何から何まですべてが愛おしい。

日々、見ていて時間を忘れてしまう。

                    

プライベートと歩調を合わせる様に仕事も充実している。

大学では物理学を専攻、大学院卒業後に光学機械メーカーで研究員としての仕事を始めた。

就職4年目に、最高レベルの効率型多色LEDの開発にも成功した。

                  

その後、取引先のコンサル会社から声を掛けられた。

世界規模のメーカーをクライアントとする、開発力向上の為の総合コンサルティングを担当する部門に誘われたのだ。

そのコンサル範囲は、資金・人・時間のリソース配分と管理全般に及ぶ。

開発のアイディア・事前調査方法等。

様々な開発に関する業務はとても興味があり、当面日本エリア担当であることも、家族との時間を考えれば、うれしい提案だった。

収入も5倍プラス成功報酬。

そんな誘いを断る理由もなく、妻も新しいチャレンジに向けて背中を押してくれた。

思い切って転職。それから3年になる。

俺は「社会と地球の未来に貢献できる可能性」を感じられる、やりがいのある仕事だと思っている。

                

兎にも角にも「幸せ」とは、今の俺みたいなのを言うのだろう。

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