長編オリジナル小説 「平安ヒーローズ 真 竹取物語」 (2-6 物語番号13)第二章:金太郎誕生  第六話:そして都へ

平安ヒーローズ 真竹取物語

渡辺綱さんは、強いだけでなく、冷静な紳士で、頭も切れた。

そして、更には官位を持つ貴族でもあった。

                    

最初に、足柄山に住んでいる、元ちゃんと信ちゃんの両親を説得してくれた。v

両親とも、最初はびっくりしていたが、この侍の貫禄と、流れるような弁にも圧倒されて、最後には「しっかりものの金ちゃんが、一緒に行くならばしかたない」と、了解してくれた。

それから次に、俺の家に一緒に行った。

そして、渡辺綱さんは母親に話した。

「私は源頼光様の家来で、渡辺綱と申します。頼光様の命で、優秀な人材を全国で探していました」

「金太郎殿は、私が全国に探しに行き、過去に会ったもののなかでもおそらく1番優秀な人材です。一緒に都に連れて行かせて頂きたい」

そう言ってくれた。

俺の母親は、その話を聞いた時にかなり困惑していた。そもそも俺が足柄山で、毎日何をやっているのかも、ろくには知らなかったのだ。

しかし母親は、元々都の人だったので源頼光さんの評判は知っていた。

かなりの有名人の様だ。

渡辺綱さんも、母から私が都で蔵人をしていた貴族の子供と聞いて、驚いていた。

「母上殿、坂田家が貴族の家柄であれば、いずれは都で官位も貰えるだろうし、何時かは、帝拝謁の機会も叶うかもしれません」そう言った。

母は、その話を聞いて喜んだ。

しかし、それでも行かせるかどうかを悩んでいた。

そして最後に私に尋ねた。

「金太郎は本当に都に行きたいのかね」

「母はお前を本当は行かせたくない。頼光様は勇猛な武将として名高いのだから、恐らくお前もこれから危険な目に会う機会が多い事でしょう」

「母はお前をそんな目には合わせたくない」

俺に、涙ながらにそう念押しした。

俺は真剣な顔で、「どうしても都に行って力を試したいのです」

「母上、安心して下さい。頂いたこの命、必ず大切にいたします」

「必ず生き抜いて、日本一の侍となります」と答えた。

母は、「お前がそれ程、言うのであれば母は、無理に反対はしません。ただ、体だけは大切にしてくださいね。それが母の唯一の願いです」

そうは言ってはいたが、母は泣きっぱなしだった。

そして、最後は俺の事を都に送り込んでくれたのだった。

                        

※第二章は終わりです。第三章はいよいよ金太郎が京都へ行き「坂田金時出世物語」が始まります。

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